縁の下のもち

読んだ本の感想や、日々感じたことなど書きます。

伊坂幸太郎 オーデュボンの祈り

記念すべき初めての記事は、ここ最近ハマっている
伊坂幸太郎さんの「オーデュボンの祈り」の感想を。

ネタバレがあるので未読の方はご遠慮ください。

ここ最近9冊ほど伊坂作品を読んできましたが、
数ある作品の中でも1番好きな作品となりました。
とても心が温まる、良い作品です。(私的には)


私のアイコンのすく朗君は
この作品に出てくる「優午」という喋る
案山子をモチーフにしています。これ豆知識。


なぜこんなにも好きになったかというと
伊坂作品共通だがキャラクターが皆魅力的で
とても人情味に溢れているからだろうと思います。
(城山?曽根川?知らない名前ですねぇ)



印象に残った場面


中でも記憶に残っているシーンは、
日比野が安田に残酷な真実を
嫌味たっぷりに告げられる場面。
常人なら憤慨し安田に殴りかかる
ところだが、日比野はそれを堪えて
「言いたいことはそれだけか」と言い放ちます。

日比野は昔から周囲に哀れみの目で見られ、
変な奴だ気狂いだと理不尽に
罵られた事もあったかもしれません。
幾度となく繰り返される理不尽の中で
それでも強く生きていこうとする
日比野の姿勢に私は胸を打たれました。
日比野がどこか何か抜けているのは、
そんな理不尽から自分を守る為の
ある種自己防衛本能なのかもしれませんね。



絶対的ジャスティ「桜」


あとは殺人を許された男、「桜」
この桜という男がめちゃくちゃかっこいい。
私が中学生だったならすぐさま詩集を買い、
休憩時間に脚を組んで読んでいたことでしょう。笑


現実にも桜がいて、「理由になっていない」
と理不尽な奴らを銃でズドン!と
撃ってくれれば良いのに。




とまあ思ったことをつらつら書いた訳ですが
物語には謎が多く、先が気になってどんどん
読み進んでいけます。

優午が殺害された件、私は
もともと優午は喋らないただの案山子で
優午の下に誰かが潜って喋っているのだと
ばかり思っていました。
なので、その潜っていた人物が
それこそ蝉の幼虫が地面から這い出てくるように
地表に出てきたのではないかと考えていました。
(今思えばめちゃくちゃだな 笑)

唯一マイナスポイントがあるとすれば
腐った警察官城山のシーン。
表現が残酷すぎて胸糞でしたね。
主人公伊藤のかつての恋人静香が城山に
目をつけられ、あわや酷い目に合わされる…
というところは本当に読むのを
止めようかと思ったくらいです。

しかし優午のアドバイスを守って
手紙を出し続けた結果、静香は助かります。
結局伊藤を追って荻島に来た城山は、
我らがジャスティス桜に銃殺されます。
しかも頭ではなく、
股間の急所を撃たれて…Oh…

私的にはもう少し痛めつけてやっても
いいんじゃないかと思ったのですが
桜はそんな事に興味は無いのでしょうね。

あとこれは読み終わった後で知ったのですが
リョコウバトとオーデュボンの話が実話
だったのにはびっくりしました。
リョコウバトの虐殺が現実に行われていた
のかと思うとゾッとする…



結論 とても良い作品でした。95点!


これがデビュー作とは信じがたいですよね。
巻末の解説を読んでも伊坂幸太郎さんの
文章がいかに人を惹きつけるかがわかります。
もう一度読み返したいなぁ。


以上、伊坂幸太郎 オーデュボンの祈り
の感想でした。