縁の下のもち

読んだ本の感想や、日々感じたことなど書きます。

伊坂幸太郎 死神の浮力

久しぶりに投稿します。

死神シリーズ第2作目ですね。
前作を読んだのはいつのことだったか、、、

すっかり内容も忘れてしまっています。

さて、読み終わった感想ですが、やはり伊坂作品は安定して面白いですね。
途中救いのない展開に読むのをやめてしまおうかと思いましたが、、笑

ではいつものように印象に残った場面や人物を書いていきましょう。



・25人に1人

山野辺一家を人生のどん底に突き落とした本城。所謂サイコパスですね。
他人の人生を狂わせ、支配する。そんな支配ゲームに勝つことに異常なまでに執着しています。
菜摘を殺されて人生のどん底にいる遼と美樹をありとあらゆる手段でさらに痛めつけ、
絶望を味わわせて楽しんでいました。こんな人間が存在すると考えるだけで寒気がしますね。

遼と美樹が家の中にある様々なものを見て菜摘が生きていたころの記憶を思い出す場面は
いたたまれない気持ちになります。



・ファスナー

遼と美樹が出会ったきっかけです。
二日連続で同じ場所同じ時間でファスナーが嚙んでしまい直そうとするする美樹をみて
1日中ファスナーが直らず奮闘し続けていると勘違いする遼。面白くて好きな場面です。
冷静に考えればそんなわけがないんですが、あまり物事を深く考えない、
良い言い方をすると純粋な遼の性格をよく表現していると思います。



・千葉さん

死神です。そういえば千葉さんが現れると雨が降るという設定がありましたね。
すっかり忘れていました。この千葉さん、発言が的外れというかなんというか、面白いですよね。
世間離れした千葉さんの発言の数々に暗闇の中にいた遼と美樹の心に少しですが光が差したような気がします。
武家諸法度は帽子じゃありませんよ。笑

自分の中で千葉さんの最も印象深い場面はやはり物語終盤の自転車ですね。
車でダムに向かう本城を遼を後ろに乗せて自転車で追いかける千葉さん。
想像してみてくださいよ。良い姿勢で淡々とペダルを漕ぎ、ものすごいスピードで走り抜ける二人乗りの自転車を。
自分の運転する車の横にそんなのがいたら間違いなくびっくりして事故を起こしてしまいますね。笑


・本城との決着

そんな千葉さんの活躍のおかげで本城の運転する車に追いつくことができた遼。
車に飛び乗り、青酸カリが入っているバッグを抱え、車から脱出します。
そこで本城に言った言葉が


「ああ、ところで」


「お前って、誰だっけ」


「名前、何だった?」


自分の名前を相手に刻み付けたい本城にとっては何よりも屈辱だったのではないでしょうか。
これまで数々の本城の仕打ちを目の当たりにしてきた読者にとっては少し物足りないような
気もしますけどね。

その後本城は車ごとダムに落下し、水の底で20年生き続けることになります。
読みながら思ったんですが、呼吸はできるのか?意識はあるのか?等不明な点は沢山あります。
が、しかしこれも「キャンペーン」なるものの弊害です。香川によれば見つかってはやっかいなので上層部の暗躍で
ダムの奥深くに括り付けられたのだろう。ということです。
苦痛に悶えながらすごしてくれればいいと思います。



まとめ

家族を奪われた人物の物語はいくつか読んでいますが、やはりつらいですね。
本城のこちらをあざ笑うかのような行動に腹が立ち、何度も読むのをやめようと思いました。
が、最後まで読んでよかったです。続編は出るのでしょうか??楽しみに待っています。





読むのをやめようと思った、で思い出しましたが、筒井康隆さんのパプリカも
同じように我慢して読み続けましたが最後の30ページほどのところで
あきらめてしまいました。もう少しなんだから頑張れよ自分!笑


以上、思ったことを適当につづりましたとさ。ちゃんちゃん。

石田衣良 うつくしい子ども

読了しました。

石田衣良さんの作品は
私が中学生の時に読んだ
I LOVE YOU が初めてですね。
石田さんのだけとても印象に残っています。

当時は知りませんでしたが
伊坂幸太郎さんと中村航さんの作品も収録されているんですね。
ほとんど覚えていないので
再読したいと思った次第です、、


さて、うつくしい子どもの感想ですが
とにかく文章が読みづらかったですね。
目が滑るというのを久しぶりに体感しました。
なぜなんでしょうね。単に自分には合わなかっただけなのでしょうか。
それと、結末はやはりすっきりしませんでした。
ミキオはとても大人びたうつくしい子ども
だと思うのですが、
勧善懲悪が好きな私にとっては
モヤモヤが残る終わり方でした。



ミキオ


弟の件でとてつもない苦悩を強いられていましたね。
犯罪者の家族というだけで
共犯扱いで、人権などありません。
世間は常にストレスのはけ口を探しているのです。
立場の弱い人間に言いがかりのような
罵詈雑言を投げつけ、自らのストレスを発散する。
とても愚かな行為ですね。

自分の時間を犠牲にしてまで
他人を批判することに執着する。
他に楽しい事が無い人間のすることです。
時間を無駄にする人間のすることです。
本当の幸せを知らない人間のすることです。
そんなものに価値はありません。
しかし、その身勝手な心ない言葉が
「犯罪者の家族」の人生を狂わせているのです。
本当にやりきれませんね。

話は変わりますが、
昼に放送しているワイドショーなどは
真実などどうでもよく、
「ほら、これが次の標的だぞ!」
と罵倒を浴びせる対象を紹介する
下品な番組だと私は思いますね。
見ていて反吐が出ます。






そういえばミキオの植物好きという設定が何か
物語に絡んでくるかと思ったのですが
そんなことはありませんでした。
強いて言えばフィールドナイフくらいでしょうか。






松浦署長


私がこの作品を好きではないのは
この人のせいだと言い切って間違いありません。

息子があれだけの事をしておいて
私も死ぬからこのことは秘密にしてくれ、とかほざく訳です。
正直はぁ??と思いましたね。
警察所長がそれでいいのかと。
息子が犯した罪を認め、
一生懺悔しながら生きるべきではないのかと。

彼は逃げた訳です。
署長のプライドもあったのでしょうね。
妻の事を思って、なんて格好つけてますが
もし妻が秘密を知ってしまったら
妻はどう思うのでしょうね。
正直に話してくれたほうがよかった、
と感じるのではないでしょうか。


ミキオは最後に署長と交わした約束を守り、
夜の王子の事を世間に公表しませんでした。

果たして中学生にこのような
立派な判断が出来るでしょうか。
私が同じ立場だったとしたら
怒り狂って警察に触れ回ることでしょう。
弟に関しての苦悩の経験が
ミキオを人の痛みがわかる
立派な人間に成長させたのでしょうね。


総評 スッキリしない! 70点

はい。結末に納得がいかない私ですが、
それは私が未熟だからなのでしょうね。

東野圭吾 秘密

読了しました。


東野圭吾さんの本を読んだのは今作が初めてでした。


少し重い話で、主人公の葛藤が
過去の私の心境と重なったこともあり
途中読むのが辛い部分も
ありましたが、とても面白く
いろいろと考えさせられる作品でした。





平助の心の葛藤

私の中ではやはりこれが
一番印象に残っていますね。


事故で亡くした妻の直子の意識が
娘の藻奈美に憑依するのですが、
憑依されている状態の藻奈美は
平助にとっては妻の直子なんですよね。
始めの方は
なんだ、体が変わっただけで
これからも前と変わらず
夫婦仲良くやっていくんじゃないか、
と考えていましたがそうはいきませんでした。



橋本多恵子


藻奈美の通っている小学校の担任教師。

事故の後平助は始めはただの娘の
担任教師として接していましたが、
接していくうちに徐々に恋心、というか
なにか特別な心を抱くようになります。

普段は気にかけていなかった
先生のショーパンから伸びる脚だとか、
風に揺られる髪をかきあげる仕草だとかを
意識するようになってしまいます。

これは妻は生きているが体は娘なために、
妻に対する行き場のない
愛情や、肉欲が暴走してしまっているのだと思います。
事故の前の平助であれば
先生に好意に似た性的衝動を
抱くことはなかったことでしょう。



運動会で平助が撮影した先生の写真を
隠し持っていたのを直子が発見した時、
平助に向かって何も言及せず
気づかなかったふりをして
部屋から出ていったわけですが、
直子はどの様に考えたのでしょうか。
平助がこのまま行き場のない感情を
抱えながら人生を歩むより、
自分が藻奈美を演じることによって
この中途半端な関係を終わらせ、
お互いの新しい人生を歩む方が
いいのではないかと初めに考えたのは
この時だったのではないでしょうか。

愛する平助の為に自分を犠牲にする。
平助のことをほんとうに愛していたんでしょうね。切ないです。





相馬春樹

藻奈美が高校に入って入部した
テニス部の先輩。
相馬君、全然悪い人じゃないのに
平助目線で読んでいるので
めちゃくちゃ邪魔で鬱陶しく感じます。笑


相馬君がしたように
好きな人の自宅に電話をしたはいいが
親が出てどぎまぎする、というのは割と
皆さん経験があるのではないでしょうか。

最近は中学生にもなると
携帯電話が当たり前だから
そんなことはもうないのかなぁ。
便利な世の中ですねぇ。




この相馬君が電話してきたあたり
から平助の直子に対する邪推が始まります。

直子宛に来た郵便物を
バレないように開封したり
電話に盗聴装置を取り付けたり…
とても異常な行動ですが
平助としては直子が自分という夫がいながら
他の男と特別な関係になろうとしているのではないかと
心配した末の行動ですよね。


もし自分がこの辺の一連の流れと
同じ状況になったとしたら、
平助と同じように直子を疑ってしまっていると思います。

記事のはじめに書いた
心境が重なった、という部分がここです。
過去の自分を見ている様でとても辛かったです。
(盗聴や郵便物の開封等の行為はしていませんのであしからず…)






秘密

今作のタイトルである「秘密」ですが
なんのことを指しているのでしょうか。
まず直子が藻奈美に憑依しているということを
社会に隠しているという秘密がありますね。

次に、藻奈美の意識が戻ったという演技をし
平助を騙して直子は藻奈美として人生を歩もうとする、という秘密

最後に、平助はそれを知ってしまったが
直子には言わず知らないふりをする、という秘密。



直子の嘘については先程書いたとおり、
平助の事を思ってのことなんでしょうね。
しかし、ほんとうにそうなのか?
という疑問もあります。
藻奈美の結婚相手の梶川文也と
初めて会った際に、何か意味深な表現がされてますよね。
直子は文也に直子として恋をして
しまった、とは考えられないでしょうか。。

しかし、結婚指輪のくだりもありますから
私はそれすらも演技だったと
信じたいですね。
本当に恋をしてしまったなら
わざわざ生前身につけていた
平助との大切な指輪を加工してまで
身につける必要などないのではないかと私は考えます。


どちらにしろ、直子の意識があると
知ってしまった平助は
愛する直子を目の前で奪われてしまった事に違いありません。
この先一生苦悩しながら生きていくでしょう。
私なら耐えられません。



印象に残った場面


事故を起こした梶川幸広は
文也が自分の子供じゃないことを
わかっていながらそれでも
月10万以上の仕送りをしていましたね。

幸広は文也のことが発覚した後、妻と子供を置いて
家から出ていってしまいました。

しかし、文也が他人の子であったとしても、
今まで注いできた愛情は本物だったわけです。
他人の子です、はいじゃあサヨナラ、
という訳にはいかなかったのでしょうね。

例えば私の両親が実の親ではなかったとしても
今まで育ててきてくれたのは
紛れもなく今の親ですから、
私にとっては誰がなんと言おうと実の親なのです。
この辺は以前読んだ伊坂幸太郎さんの
重力ピエロに通じる所があるなぁと
感じながら読んでいました。

自分の幸せより、愛する者の幸せの為に生きる。
そんな幸広の姿勢に心打たれました。
立派な父親だと思います。




総評 とても深い作品 90点


読んでいる最中は辛い部分もありましたが
読み終わって感想を書いていると
とても深い、考えさせられる作品でした。

愛する人の為に自分を犠牲にする。
とても深い愛情が感じられました。



以上、散文ですが
東野圭吾 秘密 の感想でした。

道尾秀介 向日葵の咲かない夏

読了しました。

この作品はおすすめミステリー小説
で検索すると必ずと言っていいほど
ランキング入りしているので
以前から読んでみたい、と思っていました。
作者の道尾秀介さんも、最近はよく
テレビ番組に出演されているので
ご存知の方も多いと思います。
私が道尾さんの作品を読むのは今作が初めてでした。

まず全体の感想としては、


「そんなのありかよっ!!!!」


という感じでしょうか 笑



死んだら生まれ変わる


なんと言ってもこの生まれ変わりシステム。

まさかミカちゃんがトカゲに
生まれ変わっていたなんて…


これは明らかにミスリードを誘う
書き方がされていて
ミカちゃんがS君を食べてしまう場面まで
全然疑うこともなく、気づきませんでした。



ミチオが岩村先生の家に忍び込んでいる最中、
先生が帰ってきてしまう場面。

ミチオは先生がミカには気付いたが、
似ている子だと思ったのだろう。
とか言ってますが、
そんなことはありません。先生は玄関前に
トカゲ(ミカ)がいるのを発見し、
立ち止まっただけなのでしょう。

確かに、家に帰ってきてドアの横に
トカゲが居たら一瞬立ち止まりますよね。
たったそれだけのことだったんでしょう。



しかしこの生まれ変わりですが、
生まれ変わった生き物が会話をしているのは
ミチオ君と、生まれ変わった
生き物たちだけなんですよね。


本当に生まれ変わりだったのでしょうか?


本当は生まれ変わりなど無く
全てミチオ君の妄想だったのでは?
とも考えたのですが、
トコお婆さんからヒントを貰っていますし、違うのかなぁ。よくわかりません。




六村かおること岩村かおる先生

ただの変態です。






衝撃のラストシーン


ミチオ君が自分の物語に終止符を打つ為、自宅に放火し自殺を図りますが
燃え盛る炎の中両親が窓から
投げ落としてくれたことで一命をとりとめます。

怪我は負ってしまったが
ミカを死産してしまってから狂ってしまったお母さんも
生まれ変わったかのように穏やかになり、
家族全員揃ってめでたしめでたし。
幸せな家族に後ろから夕日が当たり、
長く伸びた影が一つ、という描写で終わります。


ここは少し鳥肌が立ちましたね。


通夜に行って葬儀の説明を受けていることから
人間の姿で生きているのはミチオ君だけなのでしょう。
恐らく火事の際ミチオ君を助けるために
両親は犠牲になったのでしょう。

先程お母さんが生まれ変わったかのように、
と言いましたが本当に生まれ変わっていたんですね。

何に生まれ変わったのかは言及されていませんが
私の想像ではお母さんはギャーギャーうるさい油蝉、
お父さんは間違いなくカメでしょうね。



よく練られた作品 80点


ほんとに構成がよく練られています。
巻末解説にもあるように、
主観をモチーフにした小説を書くというのは
とてもデリケートで難しいことだと思います。

少し疑問は残りますが、
最後までハラハラしながら読むことができました。

道尾さんの他の作品も読んでみたくなりました。

以上、向日葵の咲かない夏の感想でした。

伊坂幸太郎 ゴールデンスランバー


読了しました。
とても面白い作品でした。
やはり伊坂作品は安定して
面白い本ばかりですね。

ハラハラする展開の中でも
少しふふっと笑えるシーンを
散りばめる伊坂ワールド全開の作品です。



魅力的な登場人物たち


まず思い浮かべるのは
何と言っても親友の森田森吾でしょう。
彼は名字と名前どちらにも
「森」の漢字が入っていることから
森の声が聴こえる、という
残念なユニークな人物です 笑

青柳雅春が逃亡中に駆使した
大外刈りの師匠でもありますね。

普段は掴みどころのない
立ち振る舞いなのですが
青柳雅春とは信頼関係にあります。
茶化しつつも雅春の事を気遣っている、
この絶妙な関係性に私はとても
魅力を感じました。

この森田森吾の性格が私の親友に
似ている所があり、自分の中では
その友人に重ねて読んでいました。
だから私の印象に深く残っているのでしょうね。


キルオこと黒パーカーの男 三浦


仙台で起きている無差別殺人事件の犯人。
序盤にニュースか何かで
報じられるだけでしたが、
まさか物語に登場し、
雅春サイドに付くとは思いませんでした。
敵の敵は味方、という感じですかね。

軽自動車で突っ込んできた後、
ショットガン男とナイフで戦闘
するのですが、私は以前読んだ同作者の
グラスホッパー
に登場する、「蝉」に似てるなぁ
と勝手に想像しました。
(三浦は死亡するので別人物)

本人曰く味方するのは
単に面白そうなだけということですが、
後半雅春の偽物が匿われているという
病院の場面では、偽情報を流した
警察サイドの人間と格闘の末、銃撃されてしまいます。

それにもかかわらず雅春に対しては
気丈に振る舞い全てを語った後、
役目を終えたかのように息を引き取ります。

この辺はもう三浦を応援してましたよ。ええ。
無差別殺人犯なのにですよ。

めちゃくちゃ悪い奴ですが
雅春に立ちはだかる悪が巨大すぎて私の感覚が麻痺してたんでしょうね。

殺人ダメ、絶対。


雅春の父


殺人で思い出しましたが、
雅春のお父さんがこんな事を話していましたね。

「人を殺すのはナシだが、例えば家族を守る為に殺してしまう事はあるんじゃねえか。俺はそういうのはアリだと思ってる」(台詞はうろ覚えですごめんなさい)

という台詞。
確かに自分の大切な人が脅威に晒されている時、
果たしてその犯人を殺さずに
無力化するという判断ができるでしょうか。


私にはできないかもしれません。


その大切な人を守るためなら、
その脅威を一刻も早く
排除する為に行動するでしょう。
それこそ手元に拳銃があれば
迷いなく引き金を引くでしょうね。(例え話です)



ビートルズのゴールデンスランバー


この作品のタイトル、ゴールデンスランバー
ビートルズの同タイトル曲から
取っているのは言わずもがなでしょう。
雅春や森吾が口ずさむシーンが
多くあります。

この曲の歌詞なのですが、出だしが

「Once there was a way to get back homeward
家に帰る道が、昔はあったんだ。

Once there was a way to get back home
自分の居場所に帰る道が、昔はあったんだけれど」

という感じになっています。
これは次々に居場所が無くなっていく
雅春たちの事を表しているようですよね。

もうあの頃には戻れない。

しょうもない話で盛り上がった
学生時代には戻れない。
という切ない思いを抱きながら
雅春も、森吾も、口ずさんでいたのでしょうか。


私がこの作品を読む前に聴いた時は
正直あまりいい曲とは思いませんでした。
しかし、読み終わって聴いてみると
雅春達の事が思い浮かび、
空で口ずさむ程好きな曲になりました。
(影響を受けやすいのです)

しかし、本を通じて自分の世界が
広がる事もまた、読書の醍醐味だと
私は思っています。



結論 とても面白い作品 90点


当作品は中村義洋脚本で映像化
されていますので、私も機会があれば
是非観てみたいと思います。

以上、伊坂幸太郎さんの
ゴールデンスランバーの感想を
まとまりなく述べました。


最後に一言。



「痴漢は死ね!」

伊坂幸太郎 オーデュボンの祈り

記念すべき初めての記事は、ここ最近ハマっている
伊坂幸太郎さんの「オーデュボンの祈り」の感想を。

ネタバレがあるので未読の方はご遠慮ください。

ここ最近9冊ほど伊坂作品を読んできましたが、
数ある作品の中でも1番好きな作品となりました。
とても心が温まる、良い作品です。(私的には)


私のアイコンのすく朗君は
この作品に出てくる「優午」という喋る
案山子をモチーフにしています。これ豆知識。


なぜこんなにも好きになったかというと
伊坂作品共通だがキャラクターが皆魅力的で
とても人情味に溢れているからだろうと思います。
(城山?曽根川?知らない名前ですねぇ)



印象に残った場面


中でも記憶に残っているシーンは、
日比野が安田に残酷な真実を
嫌味たっぷりに告げられる場面。
常人なら憤慨し安田に殴りかかる
ところだが、日比野はそれを堪えて
「言いたいことはそれだけか」と言い放ちます。

日比野は昔から周囲に哀れみの目で見られ、
変な奴だ気狂いだと理不尽に
罵られた事もあったかもしれません。
幾度となく繰り返される理不尽の中で
それでも強く生きていこうとする
日比野の姿勢に私は胸を打たれました。
日比野がどこか何か抜けているのは、
そんな理不尽から自分を守る為の
ある種自己防衛本能なのかもしれませんね。



絶対的ジャスティ「桜」


あとは殺人を許された男、「桜」
この桜という男がめちゃくちゃかっこいい。
私が中学生だったならすぐさま詩集を買い、
休憩時間に脚を組んで読んでいたことでしょう。笑


現実にも桜がいて、「理由になっていない」
と理不尽な奴らを銃でズドン!と
撃ってくれれば良いのに。




とまあ思ったことをつらつら書いた訳ですが
物語には謎が多く、先が気になってどんどん
読み進んでいけます。

優午が殺害された件、私は
もともと優午は喋らないただの案山子で
優午の下に誰かが潜って喋っているのだと
ばかり思っていました。
なので、その潜っていた人物が
それこそ蝉の幼虫が地面から這い出てくるように
地表に出てきたのではないかと考えていました。
(今思えばめちゃくちゃだな 笑)

唯一マイナスポイントがあるとすれば
腐った警察官城山のシーン。
表現が残酷すぎて胸糞でしたね。
主人公伊藤のかつての恋人静香が城山に
目をつけられ、あわや酷い目に合わされる…
というところは本当に読むのを
止めようかと思ったくらいです。

しかし優午のアドバイスを守って
手紙を出し続けた結果、静香は助かります。
結局伊藤を追って荻島に来た城山は、
我らがジャスティス桜に銃殺されます。
しかも頭ではなく、
股間の急所を撃たれて…Oh…

私的にはもう少し痛めつけてやっても
いいんじゃないかと思ったのですが
桜はそんな事に興味は無いのでしょうね。

あとこれは読み終わった後で知ったのですが
リョコウバトとオーデュボンの話が実話
だったのにはびっくりしました。
リョコウバトの虐殺が現実に行われていた
のかと思うとゾッとする…



結論 とても良い作品でした。95点!


これがデビュー作とは信じがたいですよね。
巻末の解説を読んでも伊坂幸太郎さんの
文章がいかに人を惹きつけるかがわかります。
もう一度読み返したいなぁ。


以上、伊坂幸太郎 オーデュボンの祈り
の感想でした。